- 1 1. はじめに
- 2 2. エラーの意味と発生状況
- 3 3. 主な原因と詳細解説
- 4 4. WordPressでの対処法
- 5 5. 予防策
- 6 6. FAQセクション
- 7 7. まとめ
1. はじめに
エラーの概要と重要性
MySQL server has gone away エラーは、MySQLサーバーとの接続が何らかの理由で切断されたことを意味します。このエラーメッセージは、クライアント(アプリケーションやウェブサイト)がデータベースにアクセスしようとした際にサーバーからの応答が得られなかったことを示しています。
記事の目的
この記事では、MySQL server has gone away エラーの発生原因と対処法について詳細に解説します。さらに、予防策についても触れ、今後同様のエラーを防ぐためのヒントを提供します。
具体的には、以下の内容を順を追って解説します。
- エラーの意味と発生状況
- 主な原因と詳細解説
- WordPressでの具体的な対処法
- エラーを防ぐための予防策
- よくある質問(FAQ)と解決策
実際のシナリオ例
例えば、WordPressで新しい記事を投稿している最中にこのエラーが発生すると、記事の保存に失敗することがあります。また、大量のデータを一度にインポートしようとした場合にも、接続が切断されることがあります。このような状況は、特にウェブサイトの運営者や開発者にとって大きな課題となります。
読者へのメッセージ
このガイドでは、初心者から中級者までが理解しやすいように、具体例や手順を交えながら解説していきます。エラー発生時にすぐに対処できる知識とスキルを身につけるために、ぜひ最後までご覧ください。

2. エラーの意味と発生状況
MySQL server has gone awayとは?
「MySQL server has gone away」というエラーは、MySQLサーバーとの接続が切断された場合に発生します。このエラーメッセージは、クライアント(アプリケーションやウェブサイト)がデータベースにアクセスしようとした際にサーバーからの応答が得られなかったことを示しています。
発生時のエラーメッセージ例
ERROR 2006 (HY000): MySQL server has gone away
このエラーメッセージは、MySQLクライアントがサーバーに接続できなくなった場合に表示されます。
発生する主なシチュエーション
- タイムアウトによる接続切断
- データベースの設定でタイムアウト時間が短く設定されていると、一定時間操作が行われなかった場合に接続が切断されます。
- 特に、長時間動作するスクリプトやバッチ処理でこの問題が発生しやすくなります。
- 大きすぎるクエリの送信
- データベースに対してサイズの大きなクエリを送信すると、サーバーが処理できずにエラーが発生することがあります。
- 例として、大量のデータを一括でインポートする操作などが該当します。
- 接続の管理不備
- アプリケーションがデータベース接続を適切に管理できていない場合、接続が切断されることがあります。
- プログラムが不適切に接続を保持し続けたり、再接続を行わなかったりすると、接続エラーが発生しやすくなります。
- サーバーのクラッシュまたは再起動
- MySQLサーバー自体がクラッシュしたり、メンテナンスやアップデートで再起動されたりした場合にも、このエラーが発生します。
- 特に、リソース不足や設定ミスによってサーバーが不安定な場合は注意が必要です。
発生の具体例
- ウェブサイトの編集中にエラー発生
- WordPressで記事を編集中に長時間放置し、再度保存しようとした際に接続がタイムアウトしてエラーが発生。
- データベース移行時のエラー発生
- 大規模なデータベースの移行中にクエリサイズが大きくなり、
max_allowed_packet
設定値を超過して処理が失敗。
- バッチ処理中にエラー発生
- データ解析やレポート生成のためにバッチ処理を実行中、処理時間が長すぎて接続が切断され、エラー発生。

3. 主な原因と詳細解説
タイムアウト設定
タイムアウトによるエラーの概要
MySQLでは、接続が一定時間利用されない場合に自動的に切断されるタイムアウト設定が存在します。この設定は、サーバーのリソースを効率的に管理するために設けられていますが、長時間実行する処理やインタラクティブな操作ではエラーの原因となることがあります。
原因
デフォルトでは、MySQLのwait_timeout
およびinteractive_timeout
の設定値は8時間(28,800秒)ですが、ホスティング環境や共有サーバーではこれが短く設定されていることがあります。そのため、長時間かかるクエリや接続を維持する必要がある場合に、接続が切断される可能性があります。
解決策
- 設定の確認
SHOW VARIABLES LIKE 'wait_timeout';
SHOW VARIABLES LIKE 'interactive_timeout';
- 設定の変更
my.cnf
またはmy.ini
ファイルに以下の設定を追加または変更します。
[mysqld]
wait_timeout=28800
interactive_timeout=28800
- サーバーの再起動
sudo systemctl restart mysql
- 設定変更後のテスト
SHOW VARIABLES LIKE 'wait_timeout';
エラーログの確認
tail -f /var/log/mysql/error.log
クエリが大きすぎる問題
大きなクエリによるエラーの概要
MySQLでは、一度に処理できるパケットサイズ(データ量)に制限があります。この制限を超えるクエリを送信しようとすると、エラーが発生します。特に、大量のデータをインポートする場合や、大規模なアップデートクエリを実行する際に問題となります。
原因
デフォルトのmax_allowed_packet
のサイズは16MBに設定されていることが多く、これを超えるサイズのクエリは処理されません。
解決策
- 設定の確認
SHOW VARIABLES LIKE 'max_allowed_packet';
- 設定の変更
my.cnf
またはmy.ini
ファイルに以下の設定を追加または変更します。
[mysqld]
max_allowed_packet=64M
- サーバーの再起動
sudo systemctl restart mysql
- 設定変更後のテスト
SHOW VARIABLES LIKE 'max_allowed_packet';
クエリ最適化の具体例
以下の例では、EXPLAIN
を用いてクエリの動作を解析します。
EXPLAIN SELECT * FROM users WHERE status = 'active';
クエリの分割による回避策
大きなデータをインポートまたは更新する場合、クエリを小分けにして処理することで、エラーを回避できます。

4. WordPressでの対処法
WordPress環境でのエラー発生例
WordPressは、データベースを頻繁に使用するCMS(コンテンツ管理システム)です。投稿の保存や更新、大量データのインポート時などに「MySQL server has gone away」エラーが発生する可能性があります。ここでは、WordPress環境でこのエラーを解決するための具体的な方法を解説します。
wp-config.php の設定変更
メモリ制限の引き上げ
WordPressのメモリ不足が原因でエラーが発生することがあります。その場合は、メモリ制限を引き上げることで対処できます。
設定手順
- WordPressのルートディレクトリにある
wp-config.php
ファイルを開きます。 - 以下のコードを追加または編集します。
define('WP_MEMORY_LIMIT', '256M');
define('WP_MAX_MEMORY_LIMIT', '512M');
設定内容の解説
WP_MEMORY_LIMIT
: 通常の操作に利用できるメモリ量を指定します。WP_MAX_MEMORY_LIMIT
: バックグラウンド処理など、大量データ処理時に使用される最大メモリ量を指定します。
設定確認
管理画面の「ツール」→「サイトヘルス」でメモリ使用状況を確認できます。
プラグインの活用による最適化
WP-Optimizeを使用したデータベース最適化
WP-Optimizeは、データベースの不要データを削除し、パフォーマンスを向上させるプラグインです。
インストール手順
- WordPress管理画面から「プラグイン」→「新規追加」をクリック。
- 「WP-Optimize」を検索し、インストールして有効化します。
最適化の実行手順
- プラグインメニューから「データベース」を選択。
- 「すべての最適化を実行」にチェックを入れ、「最適化を実行」ボタンをクリックします。
効果
- データベースサイズの縮小。
- 不要なデータやリビジョンの削除による速度向上。
Query Monitorを使用したクエリ分析
Query Monitorは、データベースクエリのパフォーマンスやエラーを分析できるプラグインです。
インストール手順
- プラグインメニューから「新規追加」を選択。
- 「Query Monitor」を検索してインストールし、有効化します。
クエリの確認方法
- 管理バーから「Query Monitor」をクリック。
- 実行されているクエリの一覧と処理時間、エラーメッセージを確認します。
具体例
問題のあるクエリ例:
SELECT * FROM wp_posts WHERE post_status = 'publish';
このクエリが処理時間を過剰に消費している場合は、インデックスの追加や条件式の最適化を検討します。
SQL設定の変更で接続切れを防ぐ
max_allowed_packetの設定変更
大量データ送信が原因でエラーが発生する場合、max_allowed_packet
の設定を引き上げる必要があります。
設定手順
- サーバーの
my.cnf
またはmy.ini
ファイルを編集します。 - 以下のコードを追加または変更します。
[mysqld]
max_allowed_packet=64M
サーバーの再起動
sudo systemctl restart mysql
設定確認
以下のコマンドで設定値を確認します。
SHOW VARIABLES LIKE 'max_allowed_packet';
テスト手順とエラー確認
接続確認テスト
データベース接続をテストし、設定変更が反映されているか確認します。
mysql -u root -p
SHOW VARIABLES LIKE 'wait_timeout';
SHOW VARIABLES LIKE 'max_allowed_packet';
プラグインによるクエリ確認例
以下のクエリを実行し、エラー発生の有無を確認します。
SELECT * FROM wp_options WHERE option_name = 'siteurl';

5. 予防策
エラーの再発防止と安定運用のための対策
「MySQL server has gone away」エラーは、一度対処しても再発する可能性があります。そのため、定期的なメンテナンスや最適化を行い、システムの安定稼働を維持することが重要です。このセクションでは、エラーを未然に防ぐための具体的な予防策を紹介します。
定期メンテナンスとバックアップの実施
データベースのメンテナンス
データベースは使用するにつれて断片化が進み、パフォーマンスが低下します。定期的にメンテナンスを行うことで、最適な状態を維持できます。
手順:
- 不要なデータの削除
DELETE FROM wp_posts WHERE post_status = 'auto-draft';
- データベースの最適化
OPTIMIZE TABLE wp_posts;
OPTIMIZE TABLE wp_options;
- インデックスの再構築
ALTER TABLE wp_posts ENGINE=InnoDB;
バックアップの重要性
エラー発生時のデータ損失を防ぐために、定期的なバックアップを自動化します。
プラグイン例:
- UpdraftPlus: 自動バックアップとクラウド保存機能。
- All-in-One WP Migration: データベースとファイルの完全バックアップ。
クエリの最適化と軽量化
不要なクエリの削減
複雑で処理時間の長いクエリは、サーバーへの負荷を増大させます。以下の方法でクエリを最適化します。
最適化手順:
- クエリの分析
EXPLAIN SELECT * FROM wp_posts WHERE post_status = 'publish';
- インデックスの追加
ALTER TABLE wp_posts ADD INDEX idx_post_status (post_status);
- 大量データの分割処理
INSERT INTO large_table VALUES (1, 'data') LIMIT 1000;
プラグイン例:
- WP-Optimize: 不要なリビジョンやデータの自動削除。
- Query Monitor: 遅延クエリの特定と分析。
サーバー設定の監視と調整
接続管理の改善
サーバー設定を監視し、必要に応じて調整します。
監視ツールの活用:
- phpMyAdmin: クエリや設定状況を簡単に確認可能。
- MySQL Workbench: サーバーステータスとクエリパフォーマンスの分析ツール。
定期的なパフォーマンスモニタリング:
SHOW STATUS LIKE 'Connections';
SHOW STATUS LIKE 'Threads_running';
SHOW STATUS LIKE 'Slow_queries';
サーバー設定調整例:
[mysqld]
wait_timeout=28800
interactive_timeout=28800
max_allowed_packet=64M
キャッシュ機能の活用
キャッシュの導入による負荷軽減
キャッシュを利用することで、データベースへのアクセス回数を減らし、サーバー負荷を軽減できます。
プラグイン例:
- WP Super Cache: 静的HTMLキャッシュによる高速化。
- W3 Total Cache: データベースクエリのキャッシュ機能搭載。
設定例:
- ページキャッシュを有効化。
- データベースクエリキャッシュを有効化。
- オブジェクトキャッシュを使用して動的データの保存。
エラーログの定期確認
ログ監視でトラブルの兆候を検出
サーバーログやエラーログを定期的に確認し、問題が発生しそうな兆候を早期に発見します。
確認手順:
tail -f /var/log/mysql/error.log
異常発見時の対応:
- 設定変更の履歴確認。
- リソース不足の場合は、サーバーリソースの増強を検討。
まとめ
これらの予防策を実施することで、「MySQL server has gone away」エラーを未然に防ぎ、安定したサーバー運用を維持できます。特に定期メンテナンスや監視ツールの活用は、トラブルの早期発見と迅速な対応に役立ちます。

6. FAQセクション
よくある質問とその解決策
このセクションでは、「MySQL server has gone away」エラーに関するよくある質問とその具体的な解決策を紹介します。これまでのセクションを補完する形で、実際のトラブルシューティングに役立つ情報をまとめています。
Q1: サーバー設定を変更してもエラーが解消されません。どうすればよいですか?
考えられる原因:
- 設定変更が反映されていない。
- サーバーの再起動が行われていない。
- 設定ファイルの記述ミス。
解決策:
- 設定ファイルの再確認:
sudo nano /etc/mysql/my.cnf
または
sudo nano /etc/mysql/mysql.conf.d/mysqld.cnf
設定値を再確認します。
- 設定の反映確認:
SHOW VARIABLES LIKE 'wait_timeout';
SHOW VARIABLES LIKE 'max_allowed_packet';
設定値が正しく反映されているかをチェックします。
- サーバーの再起動:
sudo systemctl restart mysql
再起動後にエラーが解消されているか確認します。
Q2: WordPressのプラグインがエラーに関与している可能性はありますか?
考えられる原因:
- プラグインによる過度なクエリ生成やメモリ使用。
- 非互換性のあるプラグインの利用。
解決策:
- プラグインの無効化:
WordPress管理画面から「プラグイン」→「インストール済みプラグイン」を開き、すべて無効化します。 - プラグインの一つずつ有効化:
プラグインを1つずつ有効化し、エラーが発生するタイミングを確認します。 - 最適化プラグインの活用:
データベースの不要データ削除や最適化を行い、負荷を軽減します。
- WP-Optimize: データベースクリーニング用。
- Query Monitor: 遅いクエリやエラークエリの特定用。
Q3: 設定変更後のテストはどのように行えばよいですか?
考えられる原因:
- 設定変更が正しく適用されていない。
- クエリ実行時の問題が検出できていない。
解決策:
- 接続確認テスト:
mysql -u root -p
SHOW VARIABLES LIKE 'wait_timeout';
SHOW VARIABLES LIKE 'max_allowed_packet';
設定値が期待通りになっているかを確認します。
- クエリの動作確認:
簡単なクエリを実行して、正常に処理されるかテストします。
SELECT * FROM wp_options WHERE option_name = 'siteurl';
- ログ監視:
エラー発生時のログをリアルタイムで監視します。
tail -f /var/log/mysql/error.log
Q4: 大量データのインポート時にエラーが発生します。どう対処すればよいですか?
考えられる原因:
- クエリサイズが
max_allowed_packet
の上限を超えている。 - インポート処理がタイムアウトしている。
解決策:
- パケットサイズの引き上げ:
設定ファイルに以下を追加または変更します。
[mysqld]
max_allowed_packet=64M
サーバーを再起動して反映します。
- 分割インポートの実施:
大量のデータを一括で処理するのではなく、データを小分けにしてインポートします。 - ログ監視とエラーチェック:
tail -f /var/log/mysql/error.log
Q5: MySQLサーバーのクラッシュが頻発します。どう対応すればよいですか?
考えられる原因:
- リソース不足(CPU、メモリ)。
- 設定値が最適化されていない。
- プラグインやクエリの負荷増大。
解決策:
- サーバーリソースの確認:
free -m
top
リソース不足の場合は、サーバーのアップグレードや最適化を検討します。
- 設定の最適化:
[mysqld]
innodb_buffer_pool_size=1G
thread_cache_size=8
メモリとスレッドの管理設定を調整します。
- モニタリングツールの導入:
- phpMyAdminやMySQL Workbenchを使用して負荷状況を可視化。
- リアルタイム監視ツールでアラート設定を導入。
7. まとめ
記事の振り返り
この記事では、「MySQL server has gone away」エラーの原因と対処法について、具体的な手順や設定例を交えて詳しく解説しました。このエラーは、サーバー接続の切断やクエリサイズの制限など、さまざまな原因によって発生します。対処法を正しく理解し、適切に実施することで、エラーの解決と予防が可能になります。
エラー解決のステップ
1. エラーの意味と発生状況を理解する
- MySQLサーバーとの接続が切断された場合に発生することを確認。
- タイムアウトや大きすぎるクエリが主な原因であることを特定。
2. 主な原因と設定変更で対処する
wait_timeout
やmax_allowed_packet
などの設定値を調整し、サーバー環境に最適化する。- 設定変更後はサーバーを再起動し、変更内容をテストして確認。
3. WordPress環境での対応策を実施する
wp-config.php
のメモリ設定を最適化。- プラグイン(WP-OptimizeやQuery Monitor)を利用してデータベースを最適化し、クエリを監視する。
4. 予防策を講じる
- 定期的なメンテナンスやバックアップの自動化を行う。
- クエリの最適化と軽量化、キャッシュ設定を導入することで負荷を軽減。
- ログ監視ツールを活用して、早期に問題を検出し対応する。
5. FAQセクションでトラブルシューティングをサポート
- 実際の問題例と解決策を提示し、設定ミスやリソース不足などへの具体的な対応方法を提案。
今後のポイントと注意点
- 設定変更後のテストを必ず行う
- 設定が反映されていないと、エラーが再発する可能性があります。手順通りにテストを行いましょう。
- データベースの監視を継続する
- クエリの実行速度や負荷を定期的にチェックし、異常がないか確認します。
- 予防的メンテナンスを重視する
- 定期的なバックアップとキャッシュ最適化を実施し、負荷を軽減させます。
- プラグインとテーマの互換性に注意する
- WordPressのアップデート後には、プラグインやテーマとの互換性を確認しましょう。
最終的なアドバイス
「MySQL server has gone away」エラーは、サーバー設定やクエリ処理の最適化、WordPress環境の改善によって効果的に解決できます。しかし、根本的な原因を特定し、適切な予防策を講じることが最も重要です。
このガイドを参考にして、安定したデータベース環境を維持し、エラー発生時にも迅速に対応できるスキルを身につけてください。
補足リソース
- MySQL公式ドキュメント: https://dev.mysql.com/doc/
- WordPress Codex: https://codex.wordpress.org